特集 薬物療法マニュアル
Ⅳ.術後愁訴と合併症の薬物療法
7.消化器系
術後膵炎
野本 周嗣
1
,
中尾 昭公
1
Shuji NOMOTO
1
1名古屋大学医学部第2外科
pp.296-298
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903862
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成因
術後膵炎は成因によって3つに分類することができる.第1は,膵およびその周辺臓器の機械的損傷によるものであり,膵臓,胆道手術や胃切除などの上腹部手術後がこの分類に含まれる.膵損傷,とくに膵組織の挫滅,膵管の損傷や十二指腸乳頭部およびその周辺の損傷が膵炎の発症に関与するものである.
第2には,周術期の循環障害や薬剤の使用による急性膵炎の発症であり,心,血管系のバイパス手術後や腎移植手術後の膵炎がこの分類に含まれる.循環障害は術中,術後の低血圧,薬剤ではステロイド製剤,フロセマイド,プロカインアマイドなど周術期に使用する機会の多い薬剤も含まれている.
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