外科医のための局所解剖学序説・28
頭部・顔面の構造
佐々木 克典
1
Katsunori SASAKI
1
1信州大学医学部解剖学第1講座
pp.383-393
発行日 1999年3月20日
Published Date 1999/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903562
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頭部・顔面の体表解剖を簡単に述べる.後方では外後頭隆起の頂点イニオン,前方では両側の眼窩上縁と眉間の間の窪みナシオン,左右両側では頬骨弓,乳様突起がランドマークとして上げられる.前二者は計測点として知られている.イニオンとナシオンの中点より後1cmのところに大脳の中心溝がある.頬骨弓は前方に伸びる側頭骨の突起で,眼窩の外側を構成する頬骨に連なる.これらの会合部は少々出っ張る.その後方2横指の部に投影されるのが頭蓋の内壁を走る中硬膜動脈で,前方に傾きながら頬骨弓を横切り,その上縁のレベルで前後に分かれる.後の枝は頬骨弓より親指の幅ほど離れてほぼ平行に走る.頬骨弓の外側,後部では浅側頭動脈が垂直に横切り,拍動を触れることができる.乳様突起の前部は触れやすいが,後部は胸鎖乳突筋が被うため,その発達いかんによっては触れにくくなる.下顎骨の関節突起は,外耳道に指を入れ,噛むことにより触れることができる.咀嚼筋のうち咬筋,側頭筋は歯をくいしばることで収縮し,硬くなるから容易に触知できる.また硬くした咬筋の表面で耳下腺管を触れることができる.顔面に出る三叉神経は第1,第2小臼歯の間を通る垂直な線上に存在する頤孔,眼窩下孔,眼窩上切痕から出る.顔面神経の枝は掌で耳を被い,指を広げたときの指の方向にほぼ一致する.
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