特集 外来診療・小外科マニュアル
Ⅵ.直腸・肛門
73.直腸脱
須田 武保
1
,
瀧井 康公
1
,
酒井 靖夫
1
,
畠山 勝義
1
Takeyasu SUDA
1
1新潟大学医学部第1外科
pp.200-201
発行日 1997年10月30日
Published Date 1997/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902950
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疾患の概念
直腸脱とは,肛門から直腸が翻転脱出する病態をいう.直腸脱の本邦における発生頻度は直腸・肛門疾患の0.2〜0.5%とされる.性別では本邦では男性に多いが,欧米では女性に圧倒的に多い.年齢別では乳幼児から80歳以上まで広く発症する.成因としての主なものは,①Douglas窩の滑脱ヘルニア説,②直腸上部の重積説,③骨盤底支持組織の弱体化説,④肛門挙筋および肛門括約筋の機能失調説などがあげられるが,直腸重積説が有力視されている.
治療は成因,患者の年齢,全身状態を考慮して行われるが,小児を除くと観血的治療が主体となる.外来では保存的療法として,①便通,食べ物,局所の清潔などに関する生活指導,②脱出部の還納,③消炎鎮痛剤,血液循環改善剤,痔疾用軟膏などの薬物療法が行われるが根本治療ではない.観血的には,①経会陰式(Thiersch法など),②経腹式(Ripstein法など),③混合式(Dunphy法など)など種々の術式があげられるが,最近は腹腔鏡を用いた直腸固定術も行われる.
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