特集 Q&A 自動吻合器・縫合器の安全,有効な使い方
(Q19)DST(ダブルステイプリング法)の際,リニヤー型縫合器で直腸を閉鎖時に,骨盤腔が狭く器具が入りにくい場合の工夫は.
中越 享
1
,
澤井 照光
1
,
辻 孝
1
,
綾部 公懿
1
Tohru NAKAGOE
1
1長崎大学医学部第1外科
pp.1034-1035
発行日 1997年8月20日
Published Date 1997/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902808
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- 文献概要
器械吻合とくにdouble stapling technique(DST)の導入は,直腸癌低位前方切除術後の再建をより安全かつ容易にした.その術式の特徴は直腸肛門側の断端の閉鎖を容易にし,口径の異なる腸管の吻合を汚染の少ない術野で可能にしたことにある.しかし,安全な術式ではあるが,生じうるトラブルは皆無ではない.その1つに直腸側の断端の閉鎖時に生じる困難性がある.すなわち,直腸切離予定線と腫瘍との間に直角鉗子をかけ,経肛門的に残存直腸内を十分洗浄した後,リニヤーステイプラーにて閉鎖するわけであるが,この際骨盤腔が狭くリニヤーステイプラーが入りにくい,または入らない場合がある.
通常の直腸前方切除術におけるDSTで用いるリニヤーステイプラーとしてはUSサージカル社のTA®55とロティキュレーター®55,エチコンエンドサージェリー社のTL60,TX60,アクセス55がある.直腸壁の厚さに応じてステイプルの大きさを選択できるのはTA®55,ロティキュレーター®55,TX60,アクセス55であり,筆者らは通常グリーン・カートリッジのものを用いている.このステイプルの脚の高さは4.8mmで,打ち込んだ後の高さが2.0mmとなる.TL®60はステイプル・サイズは選択できないが,挟み込む組織の厚さを調節できるようになっている.
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