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特集 膵瘻の予防・治療のノウハウ
膵外分泌抑制療法は有効か
Inhibition of pancreatic exocrine secretion is effective for the treatment of pancreatic fistula
長見 晴彦
1
,
矢野 誠司
1
,
田村 勝洋
1
Haruhiko NAGAMI
1
1島根医科大学第1外科
キーワード:
膵液瘻
,
膵外分泌機能抑制
,
terbutaline sulfate
Keyword:
膵液瘻
,
膵外分泌機能抑制
,
terbutaline sulfate
pp.477-481
発行日 1997年4月20日
Published Date 1997/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902694
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薬剤による膵外分泌機能抑制療法が膵液瘻治療に有効であるか否かについて自験例も含めて検討した.従来より膵外分泌機能抑制作用を有する薬剤として,サンドスタチンは有名であり,これまでにも本邦,欧米においてサンドスタチンが膵液痩の治療に有効であることを指摘する報告も多いが,筆者らは今回β-adrenergic agonistであるterbutaline sulfate(ブリカニール)を膵液瘻の患者に投与しその有効性を確認した.terbutaline sulfateの膵に対する作用は単に膵血流を介したものではなく膵実質への作用と考えられ,本剤により膵液,重曹,膵酵素分泌が抑制されることが実験的,臨床的に確認されている.
膵液瘻に対しては,漏出膵液の完全な体外ドレナージと絶飲食により膵液分泌量の減少,中心静脈栄養管理と体液漏出の補正,抗膵酵素剤投与と感染予防を中心とした保存的療法をまずは優先すべきであるが,これらの治療に加え,薬剤によって膵外分泌機能を抑制すれば比較的早期の段階で瘻孔閉鎖が期待できるという点において,本方法は今後膵手術後の高齢者などに対し,予防的投与も含めて積極的に試みてもよい治療法であると考える.
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