私の工夫—手術・処置・手順・15
幽門輪温存膵頭十二指腸切除
伊関 丈治
1
Jouji ISEKI
1
1静岡県立総合病院外科
pp.1484
発行日 1995年11月20日
Published Date 1995/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902141
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幽門輪温存膵頭十二指腸切除に際しては,幽門輪及び十二指腸球部を温存することにより,胃の容積が保持されるとともに,十二指腸球部からの消化管ホルモン分泌能が温存される.その反面右胃動脈領域のリンパ節郭清は不十分となり,また迷走神経幽門枝を切離する場合には,幽門機能の低下が懸念される.
当科では1985年にVater乳頭部癌2症例に対し,幽門輪温存膵頭十二指腸切除を行った.この際右胃動脈を根部から胃壁に至るまで切除し,5番リンパ節の郭清を徹底したためか,術後3か月を過ぎても高度の胃内容停滞症状に悩まされた.その経験に基づき1990年以降は右胃動脈を根部で切離するのみにとどめている.また十二指腸空腸吻合は一層で行うようにしている.現在では乳頭部癌,下部胆管癌のみならず膵頭部癌に対しても本術式を基本術式として採用し良好な結果を得ているので,その手技の要点について述べる.
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