シリーズ 早期癌を見直す・2 早期大腸癌・4
早期大腸癌診断の最前線—③拡大大腸内視鏡
今城 眞人
1
,
岩間 毅夫
2
Mahito IMAJO
1
,
Takeo IWAMA
2
1いまじょうクリニック
2東京医科歯科疾患遺伝子実験センター
pp.203-211
発行日 1996年2月20日
Published Date 1996/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902212
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はじめに
電子内視鏡機器の改良に伴い,大腸腫瘍に対する診断能は飛躍的に向上し,5mm前後あるいはそれ以下の小さな早期大腸癌が診断されるようになった.また,平坦陥凹型の早期大腸癌のなかには,5mm前後の大きさですでにsm浸潤を示すものがあると報告1)され,大腸癌の発育進展の過程より注目されている.早期大腸癌に対する内視鏡的切除か,外科的切除かの治療方針の決定に際し,内視鏡医の診断能力が重要な位置を占めており,実際の臨床の場では,その判断により内視鏡的切除の適応が決定されている.
早期大腸癌の診断は,ファイバースコープの時代には,病変の大きさ,形態や色調などの内視鏡所見により行われ,内視鏡医の臨床経験に基づいてこれらの所見を総合した主観的な内視鏡診断が行われてきた.また,sm癌とm癌,m癌と高度異型腺腫の内視鏡による鑑別診断は,とくに後者においては病理学的診断基準の一致をみていないことも加わって困難であった.
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