綜説—今月の臨床
消化器領域のマイクロサージャリーによる再建外科
野崎 幹弘
1
,
佐々木 健司
1
,
井手 博子
2
,
中村 光司
2
,
寺岡 慧
3
,
羽生 富士夫
2
Motohiro NOZAKI
1
1東京女子医科大学形成外科
2東京女子医科大学消化器病センター外科
3東京女子医科大学腎臓病総合医療センター
pp.1625-1633
発行日 1994年12月20日
Published Date 1994/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901743
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Ⅰ.はじめに
悪性腫瘍に対する集学的治療が進むなかで,消化器外科においても,症例によって積極的に拡大手術を行い再建する傾向がみられる.一方,高齢化社会のなかで,既往疾患に消化管手術があるにもかかわらず,新たなる病疾で消化管の切除再建を求める症例も増加している.このような背景のなかで,近年,消化器外科領域においてマイクロサージャリーを利用しての再建手術が導入されつつある1-5).
消化器領域でマイクロサージャリーが応用されたのは、咽喉食摘後の頸部食道再建が始まりであり,今や遊離腸管移植による食道再建は多くの普及をみている1-3,6,7).この他に,有茎移植腸管が乏血性壊死に陥るのを防止する目的で挙上腸管遠位側の微小血管吻合を行う方法8)(super-charge法),さらには肝門部血行再建9,10)や肝移植などにも,その利用が拡がりつつある.本稿では,これらの消化器外科領域でのマイクロサージャリーの適応と実際について,自験例をまじえ現状を述べたい.
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