臨床外科トピックス 消化器外科領域におけるサイトカインとその周辺・5
消化性潰瘍とサイトカイン—インターロイキン−1の抗潰瘍作用と潰瘍惹起作用
上原 聡
1
1旭川医科大学第3内科
pp.1051-1056
発行日 1994年8月20日
Published Date 1994/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901613
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はじめに
サイトカインは抗原刺激を受けた免疫担当細胞から放出される液性因子を指し,主として免疫調節因子として研究されてきた.しかし,近年の遺伝子工学の進歩により,遺伝子組み換え技術で量産されるサイトカインを用いての研究が可能になるにつれ,サイトカインが免疫系以外の細胞でも産生されること,および多臓器に対して様々な非免疫学的作用を発揮することが明らかになってきた.そして,サイトカインが種々の疾病の病因や病態生理に深く関与していることが分かってきた.それは消化器の領域でも例外ではなく,サイトカインの消化器疾患に及ぼす影響が解明されつつある.ここでは,この種の研究が特に進んでいるサイトカインのインターロイキン−1(IL−1)を取り上げて,消化性潰瘍の発症機序および病態生理におけるL−1の役割について,最新の知見を概説する.
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