イラストレイテッドセミナー・3
「成人鼠径ヘルニア根治術」に対するコメント
武藤 輝一
1
1新潟大学
pp.746-747
発行日 1994年6月20日
Published Date 1994/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901565
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はじめに
かつては,成人のみならず,乳幼児の鼠径ヘルニアに対してもBassini法が施行されることが少なくなかったが,現在,成人と乳幼児ではかなり異なった考えで手術が行われているのは周知のとうりである.篠原 尚氏により初心者にわかりやすく記載されている術式は,Bassini法そのものと異なるところはあるが,根本的に異なるものではない.長年,成人の鼠径ヘルニア根治手術を手掛けてきた外科医からみると,記載された術式のなかでの特徴は,内鼠径輪縫縮とiliopubic tractrepairの2つにあるのではなかろうか.しかし,本稿は初心者向きに奨められている術式で,根本的に私自身の考えているところと異なるものではない.39年にわたる外科医としての経験から,“標準的な意見”といえるほどのものではないが,気がついたところを申し述べたい.
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