特集 外科患者・薬物療法マニュアル
Ⅰ.救急患者のプライマリ・ケアにおける薬物療法
13.腹痛
加来 信雄
1
1久留米大学救命救急センター
pp.36-37
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900929
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腹痛は内臓痛,体性痛,関連痛からなる.内臓痛は管腔臓器の内腔拡張による壁の伸展,壁内平滑筋の収縮による蠕動,実質臓器の牽引や腫脹などによる被膜の伸展が刺激となり,病的状態のときに疼痛が現れる.体性痛は腹膜の機械的・化学的な刺激や炎症による刺激で起こる疼痛で,灼熱感やうずきなど鈍痛である.関連痛は横隔膜・腹膜への刺激が横隔神経を介して頸部に放散痛を発生する場合が該当し,胃十二指腸潰瘍のBoasや小野寺圧痛点に代表される1).
腹痛は腹腔内の病的状態を示す警告情報であるが,その一方で,疼痛は呼吸・循環系に障害を与えるので,鎮痛を図らねばならない.
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