今月の主題 内科医のための小児診療のコツ
主な症状・疾患の診療の要点
腹痛
今野 多助
1
1東北大学抗酸菌病研究所・小児科学研究部門
pp.1314-1317
発行日 1990年8月10日
Published Date 1990/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900328
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小児での腹痛の訴えはきわめて日常的なことである.それをできるかぎり正しく評価することが大切である.多くの場合は機能的あるいは心因性といえるもので,器質的病変を伴うことは少ない.しかし,外科的治療対象となるいわゆる急性腹症は稀でないので,診断上,注意しなければならない.また,腹部臓器疾患のみならず,急性上気道炎,肺炎,中耳炎,髄膜炎などの場合も腹痛を主訴とすることがあるので留意が必要である.
言葉のできない乳児や自覚症状を正しく表現できない幼児の場合には,両親などの養育にあたる人を代弁者とするので,腹痛の性状は必ずしも正しく把握できない.しばしば介添者や周囲の人々の主観が加わって伝えられるので,信頼し難いことがあるので注意を要する.また,痛みの感受性や表現には個人差が大きいことを念頭に置く必要がある.
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