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特集 いまイレウスを診療する
D イレウス:Selected Topics
イレウス:これは何?
A case of ileus: Can you guess what the diagnosis is?
田島 知郎
1
Tomoo TAJIMA
1
1東海大学医学部外科学教室II
pp.774-775
発行日 1992年6月20日
Published Date 1992/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900830
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ちょっと変わったイレウスのプラスアルファとして,現在では経験されることが極めて少ないと思われ,熟年の外科医のノスタルジアをかき立てるようなイレウスの自験例を,病名を伏せてここに供覧する.この症例では,1枚の腹部単純X線写真だけで診断できる可能性があり,そのほうが症例としての興味が増すので,この先の症例説明の項には進まずに,まず図1の腹部単純X線写真を読んでいただきたい.
59歳,女性.早朝の午前3時頃,急激な腹痛と嘔気・嘔吐で目覚め,3時間後に来院した.来院時も激しい腹痛が続いており,顔面は苦悶状であった.嘔吐発作は頻回であったが,吐物は少量で血液を混じた漿液性で,食物残渣や胆汁は認められなかった.症状が激しいために身長,体重の測定は不能であったが,栄養状態ほぼ良好で,やや痩せ型と判断された.血圧136/84mmHg,脈拍整86回/分,呼吸やや浅く26回/分,体温37.0℃であった.腹部の触診では左上〜中腹部に小児頭大の圧痛のある腫瘤を触れたが,これ以外の腹部は平坦で軟らかく,圧痛や筋性防御は認めなかった.
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