小児外科医の独白・16
肥厚性幽門狭窄症(3)
角田 昭夫
1
1神奈川県立こども医療センター
pp.508-509
発行日 1992年4月20日
Published Date 1992/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900777
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疫学 肥厚性幽門狭窄症が東洋人に比べて白人に多いことは,Shimがハワイの多民族を比較して報告1)している.1942〜1966年の出生証明ファイルに基づく調査で,白人は1/530,プエルト・リコ人1/1,000,韓国人は1/1,250,日本人は1/1,920,の頻度であった.日系人の母数74,000人は,白人の83,000人に次いで多い.この論文でShimは出生順位まで調査し,第1子に多く,全体の36%を占めたという.
また男性に多いことも,小児外科の教科書2)には必ず書かれてある.最近『先天異常を理解する』3)という本を寄贈され,一般向けにわかりやすく書かれているので愛用しているが,この中にも肥厚性幽門狭窄症が取り上げられている.すなわち唇裂,心臓奇形,内反足などとともに,多因子遺伝による先天異常に分類され,その特徴の6番目:男女間に発生頻度差がある疾患の例示として,男性の肥厚性幽門狭窄症,女性の先天性股関節脱臼があげられる.
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