海外だより ボストン留学記・3
ハーバードの研究室と腹腔鏡下胆摘術
小西 敏郎
1
Toshiro KONISHI
1
1東京大学医学部第2外科
pp.1401-1403
発行日 1991年11月20日
Published Date 1991/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900680
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Steele教授の研究室
私の留学したハーバード大学の研究室は,いずれの研究室も豊富な研究資金に恵まれており,研究室の施設や実験器具・薬品などが非常に充実していた.また,ハーバード大学には日本から若い研究者が多数留学し,研究の推進に大きく貢献していることは非常に嬉しかった.Steele教授の研究室では,生化学・遺伝子学的な手法を用いて腫瘍細胞の病態についての研究が行われている.癌細胞の転移のメカニズムや悪性細胞の発癌・分化について,ラミニンレセプター・CP35などの糖蛋白やras・SRC遺伝子の分析などの手法を用いて外科側からアプローチすることにより,癌の早期発見と治療成績の向上に期待がもたれている.アメリカでも外科の研究室でこのような基礎研究を行っている施設は少なく,Steele教授の研究室には来年から3年間にわたり,NIHから総額500万ドルの多額の研究援助費が決定しており,アメリカの中でも彼の研究室の業績は注目されている.日本人では昨年の6月まではわれわれの教室の真船健一君が2年間留学し,また本年1月からは九州大学第2外科の森正樹先生がSteele教授の研究室の一員に加わった.
私自身も,8ヵ月間の米国留学中,手術見学やクリニカルカンファランス出席の合間に,化学療法の基礎実験を行った.
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