特集 術前・術後管理 '91
H.術後合併症の対策
a.頭頸部術後の合併症
頸部術後出血
武市 宣雄
1
,
土肥 雪彦
1
1広島大学医学部第2外科
pp.194-196
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900615
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■病態・病因■
頸部の術後合併症のなかで最も注意を要するものは,術後出血による気道狭窄の出現である.頸部は細く,その中に主に脳に血液を供給する頸動脈,椎骨動脈とその環流路となる内頸静脈,外頸静脈,椎骨静脈がある.甲状腺は血流豊富で,重要な血液環流路の1つである.これらの頸部の大動脈,大静脈およびそれらの分枝や甲状腺を術中に損傷した場合,その出血量が約150 mlに達すると,頸部静脈が圧迫されて声帯浮腫が起こる.これが気道狭窄,呼吸困難の主な病因である.勿論,頸部でも大量の急性出血が起こると出血性ショックをきたす.
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