特集 術前・術後管理 '91
E.術後全身的管理
ICU症候群
山城 守也
1
1東京都老人医療センター
pp.134-135
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900590
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■問題点の解説■
急性に発生した重篤な状態に対して,24時間,昼夜を問わず集中的に患者管理を行う場として,ICU, CCUが発達してきた.そして,術後の集中管理(intensive care)を要する心臓手術,食道手術など侵襲の大きな手術が増えるにつれて,いわゆる術後せん妄の頻度もふえ,また,CCUでの急性心筋梗塞の治療中にもせん妄状態の発生がみられ,これらICU, CCUでの管理中に発生する一連の精神障害をICU症候群と総称するようになった.
しかし,急性の錯乱状態(confusional state)は必ずしも手術後ばかりとは限らず,またICU内で発生すると決まっているわけでもない.CCU内に収容された急性心筋梗塞患者や,整形外科での大腿骨頸部骨折などでもせん妄状態を呈することが稀ではない.また,一見せん妄状態のようにみえても,適切な医療スタッフのアプローチで鎮静化し得る高度の心因性反応である例もみられるが,このような状態は,患者本人の性格,社会的地位,現在の環境などに誘因を求め得るもので,器質的要因よりも心因性反応ととらえたほうが適当と考えられる.
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