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当院は1989年に医療法人南東北病院として開設,2011年に社会医療法人を取得した,271床の民間病院です.271床中181床が急性期,50床が回復期リハビリ,40床が地域包括ケア病床で,初診〜救急から急性期治療,リハビリ〜退院まで完結型地域密着病院として地域医療に貢献しています.仙台市から南20 kmの岩沼市にありますが,宮城県は仙台一極集中型で,医師も仙台市に集中するため,当院の常勤医も30名足らずで,特に外科は私を含め3名しかおらず,多忙を極めています.すなわち,地理的にはへき地ではありませんが,医師の充足という観点からは間違いなくへき地で,大学病院との関係も若干希薄なこともあり,医師招聘には大変苦労しています.
地域密着病院を目指す関係で,現在大病院において行われている臓器専門外科とは一線を画した,いわゆる何でもできる外科を目指しており,頸部甲状腺,乳腺,呼吸器外科,消化器外科,小児外科と,幅広く診療,手術を行っています.NCDに登録した手術件数は,一時期500例前後で推移していたのですが,新型コロナの蔓延で当院も例に漏れずここ数年減少傾向にあり,何とか増やそうとがんばっています.2021年の主な手術内容は(カッコ内は鏡視下手術例),胃癌15例(9例),大腸直腸癌49例(48例),胆囊摘出92例(89例),虫垂切除29例(29例),鼠径部ヘルニア78例(73例),気胸8例(8例),肺癌4例(4例)と,ほとんどの手術を鏡視下で行いました.すぐ近くに宮城県立がんセンターがあるにもかかわらず癌の手術もそれなりにあるのは,救急患者さんのなかに比較的oncologic emergencyの方が多い(がまん強い方が多い?)ことや,超高齢の方や合併症がある方も積極的に手術をするためと考えています.また,2016年に外来化学療法室を作りましたが,それ以前から主に胃癌,大腸癌の化学療法も外科で行っており,末期の緩和療法も含めがん患者さんも当院で完結できるよう診療することで,地域密着病院としての機能を果たしていると自負しています.
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