書評
—今村清隆(訳者代表)—症例で学ぶ外科医の考えかた—外科診療の基本がわかる30症例
倉島 庸
1,2
1北大消化器外科Ⅱ
2北大クリニカルシミュレーションセンター
pp.785
発行日 2022年7月20日
Published Date 2022/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213762
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私が訳者代表の今村清隆先生と知り合ったのは,彼が手稲渓人会病院の外科研修を修了し,外科スタッフとして研修医の指導担当を始めた頃である.私自身カナダ留学から現在所属している北大へ戻り,日本国内の外科医が若手外科医教育の情報を共有できる全国レベルの組織づくりに着手したのもこの時期であった.同じ札幌市内で勤務している今村先生とは臨床現場での指導方法,北海道や全国の若手外科医の教育について,時を忘れて語り合ったことを覚えている.それから現在まで,今村先生の教育に対する情熱はオンラインというツールを得て,北海道の枠にとどまらず,全国,海外へと広がっていったのである.
本書は今村先生が研修医向けの勉強会でテキストに用いてきた原著『Surgery:A Case Based Clinical Review』(第2版,Springer)から,重要な内容を抽出して日本語訳したものである.私が感銘を受けたのは,23名の訳者の中に,勉強会へ参加していたであろう多くの手稲渓仁会病院初期研修医達が含まれている点である.専門性の高い領域の翻訳作業をしながら膨大な関連知識を確認していく経験が,彼らが担当したテーマの理解をどれほど深いものにしたかは容易に想像できる.この翻訳共同作業そのものが大きな学びの輪を創造したことであろう.
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