増刊号 Stepごとに要点解説 標準術式アトラス最新版—特別付録Web動画
6.肝臓
肝後区域切除術
板野 理
1
,
皆川 卓也
1
,
星本 相淳
1
,
篠田 昌宏
1
Osamu ITANO
1
1国際医療福祉大学医学部消化器外科
キーワード:
シミュレーション
,
intersegmental plane
,
inside-out transection
Keyword:
シミュレーション
,
intersegmental plane
,
inside-out transection
pp.204-209
発行日 2021年10月22日
Published Date 2021/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213509
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Step1 術前シミュレーション
術前に解剖把握および肝切除のシミュレーションを行うことは,安全な手術を完遂するために必須である.特に,シミュレーションソフトの活用は,直感的かつ視覚的に判断しやすく非常に有用である.肝後区域切除の術前シミュレーションのポイントは,残肝容積および残肝機能の評価のほかに,①肝門部の解剖の把握と②肝離断面のメルクマールの確認の2点に集約される.前者では,肝動脈,門脈,胆管の走行や解剖破格の有無を確認(図1a)し,実際に手術を行った場合にどの位置でグリソン,もしくはそれぞれの脈管を処理すべきかという点を検討する.後者では,解剖学的肝区域境界となるintersegmental planeにはintersegmental veinが走行しているため,どの段階で肝離断面に右肝静脈が出現するか,どの地点でV6やV7を切離するか(図1b)を確認しておく.
本術式のおもな適応疾患は,原発性および転移性肝癌であるが,生体肝移植ドナー手術として行われることもある.本術式は基本手技の組み合わせで構成されるが,肝離断面が広く,確実な止血技術が求められる.また,疾患によって肝門部脈管処理や肝静脈の取り扱いが異なる場合がある.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年10月末まで)。
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