特集 膵癌診療ガイドライン改訂を外科医はこう読み解く—ディベート&ディスカッション
テーマ9:ディベート
R1切除の判定には0mmと1mmのどちらを用いるべきか—0mm vs 1mm
川畑 康成
1
,
石川 典由
2
,
田島 義証
1
,
石戸 圭之輔
3
,
齋藤 傑
4
,
木村 憲央
3
,
脇屋 太一
3
,
長瀬 勇人
3
,
室谷 隆裕
3
,
坂本 義之
3
,
平林 健
4
,
袴田 健一
3
Yasunari KAWABATA
1
,
Keinosuke ISHIDO
3
1島根大学医学部消化器・総合外科
2島根大学医学部附属病院病理部
3弘前大学大学院医学研究科消化器外科学講座
4弘前大学医学部附属病院小児外科
キーワード:
R1切除
,
0mm定義
,
膵頭神経叢第Ⅱ部
,
膵癌
,
切除断端
,
1mm rule
Keyword:
R1切除
,
0mm定義
,
膵頭神経叢第Ⅱ部
,
膵癌
,
切除断端
,
1mm rule
pp.707-717
発行日 2020年6月20日
Published Date 2020/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212965
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
R1(0mm)定義のメリット:膵癌進行例では手術中に剝離断端の迅速診断を迫られる場合が多い.0mm定義は,剝離断端における癌細胞の露出の有無を確認するのみであり,簡便で迅速に対応しやすい利点がある.一方,術中迅速病理診断では,小さな切除標本での1mm評価は困難である.仮に可能だとしても,上腸間膜動脈あるいは肝動脈などの主要血管周囲での追加切除は困難となる.
R1(0mm)定義のデメリットとこれに対する考え方と対処法:0mm定義を使用する際の留意点は,病理組織診断時の剝離断端の状態である.手術時に各種のエネルギーデバイスが使用されている場合,組織断端は高出力エネルギーで凝固・シーリングされる.そのため断端には熱変性が生じ,0mm定義での断端診断が困難となる場合がある.特に術中迅速病理診断を行う際には,外科用剪刀などで鋭的に組織を切離して検体を提出すべきである.
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.