FOCUS
外科領域におけるAI手術支援の現状と展望
竹下 修由
1,2
Nobuyoshi TAKESHITA
1,2
1国立がん研究センター東病院 大腸外科
2国立がん研究センター東病院 機器開発推進室
pp.1253-1257
発行日 2019年10月20日
Published Date 2019/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212633
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はじめに
近年,artificial intelligence(AI)を活用した製品・サービスの開発が活発化し,医療分野にもこの波が押し寄せてきている.これまでAIブームと呼ばれるものは,推論・探索による人工知能(思考が早いAI)がもたらした第1次ブーム(1960年代),知識表現による人工知能(博識なAI)がもたらした第2次ブーム(1980年代)があり,今回,機械学習による人工知能(学習するAI)が第3次ブーム(2000年代〜)をもたらしているといわれている.この機械学習のなかでも特に,深層学習(人間の脳の構造を模したアルゴリズムであるニューラルネットワークを応用したもの)においては,特徴抽出をAIが行い「勝手に学ぶ」ことが可能となり,人間の介在が不要になるとともに,認識精度の圧倒的な向上が達成された1).
自動車の運転支援技術などにおいて広く活用され始めているこのAIが,外科手術領域において今後どのようなインパクトをもたらすのか,本稿では,AIによる他領域での診療支援の現状,手術領域での開発動向,今後の展開について,一部私見も交えながら述べさせていただく.
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