FOCUS
胃癌化学療法の新展開
加治 早苗
1
,
川上 武志
2
,
町田 望
2
,
寺島 雅典
1
Masanori TERASHIMA
1
1静岡県立静岡がんセンター胃外科
2静岡県立静岡がんセンター消化器内科
pp.1548-1553
発行日 2016年12月20日
Published Date 2016/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211461
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はじめに
一時期滞っていた切除不能進行・再発胃癌化学療法の開発は,HER2陽性例に対する1次治療へのトラスツズマブの上乗せ効果の証明や1),2次治療におけるramucirumab(Ram)の有用性が証明されたことで2,3),再び勢いづいてきている.また,2014年9月よりオキサリプラチン(l-OHP)が使用可能となり,治療の選択肢が増え,特にシスプラチン(CDDP)適応外症例の予後改善に期待される.
一方,術後補助化学療法については,2007年米国臨床腫瘍学会(ASCO)でのACTS-GC試験の結果公表以降,胃癌根治切除術後Stage Ⅱ,Ⅲには1年間のS-1投与が標準治療として認識されている.しかし,サブグループ解析の結果から,Stage ⅡとStage Ⅲでは異なった治療開発が計画されている.すなわち,Stage Ⅱに対しては毒性を軽減する,もしくは投与期間を短縮する試みが,Stage Ⅲに対してはより強い治療効果を期待する試みが計画されている.
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