昨日の患者
病棟で引き継がれる手作り袋
中川 国利
1
1宮城県赤十字血液センター
pp.1460
発行日 2016年12月20日
Published Date 2016/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211440
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外科病棟には様々な趣味や特技を持った患者さんが,病を得て入院する.入院当初は手術を控えて緊張し心に余裕がないが,術後に痛みが緩和し食欲が出てくると,病室でも常日頃の活動を行う患者さんが現れる.そして診療を担うわれわれ医療従事者にも心のゆとりが生じ,医療以外の会話も弾む.
80歳代前半のMさんは胆囊癌で,拡大胆囊摘出術を行った.術後経過は良好で,退院を前に編み棒で手袋を編んでいた.そこで「編み物が得意なのですね」と,声を掛けた.すると「母親は裁縫が得意で,私の服も作ってくれました.幼児の頃から見よう見まねで裁縫を覚え,大好きになりました」と語った.そこでバッグに貯めた尿や胆汁が直接外部から見えないように,携帯用袋の作製を依頼した.
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