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連載にあたって
2015年4月号より12回にわたり,「具体的事例から考える 外科手術に関するリスクアセスメント」を本誌に掲載させていただき,外科手術にかかわるさまざまなインシデント・アクシデント事例について,日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業における公開データ検索1)から抽出した事例を参考に,安全で良質な手術医療を提供するポイント,チェックリストなどを提案した.
この公開データで検索された事例のなかには,視点を変えると,「適切な介入により医療事故に至らなかった(ヒヤリ・ハットで止まった)事例」「トラブルが発生したが,適切な対応で外科医や患者への影響の拡大が防止された事例」などが少なからず報告されており,手術にかかわるトラブルの発生を未然防止するための多くのヒントが示唆されていることがわかる.
そこで,新連載ではこのような公開データ事例に着目し,手術において「こうすればトラブルの発生が少ない」「こうすれば外科医や患者への影響の拡大を防止できる」と思われるポイントに焦点をあて,外科医が安全に手術医療に取り組むためのヒントとして,12回にわたって「手術トラブルを“未然防止”するための行動特性」を提案する.
12回のテーマは,「“ノンテクニカルスキル”をアップする(第1〜4回)」「アクシデントに適切に対応する(第5〜7回)」「トラブル発生を未然防止する基盤を整える(第8〜11回)」「対話に基づく高信頼性組織を維持する(第12回)」という4つのカテゴリーに分けて,具体的な12の行動特性を記載した実践的な内容を展開する.
なお,本連載では患者に影響の及ばなかった事例,もしくはタイムリーな介入により事故に至らなかった事例や状況をインシデント,患者に何らかの影響が及んだ事例をアクシデントと記載するが,日本医療機能評価機構のデータを紹介する際には,前者をヒヤリ・ハット,後者を医療事故と記載する.
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