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図解!成人ヘルニア手術・8 忘れてはならない腹壁解剖と手技のポイント
TEP
TEP
江口 徹
1
,
当間 宏樹
1
,
久留 裕
1
,
藤井 圭
1
,
岡部 安博
1
,
小原井 朋成
1
Toru EGUCHI
1
1医療法人原三信病院
pp.82-91
発行日 2016年1月20日
Published Date 2016/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211058
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■一般外科医がTEPに対するときの心構え
各種の成人鼠径ヘルニア修復術のなかで,腹膜前修復法は鼠径部の構築を破壊することがなく,ヘルニアが発生する可能性のあるすべての部位を一度に補強できるという長所がある.そのなかでも腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(laparoscopic inguinal hernia repair:LIHR)は整容性が高く,術後早期の痛みが軽く,早期社会復帰が可能であるが,そもそも,鼠径部ヘルニアは腹壁の脆弱性に由来する疾患であるので腹腔内操作は必要なく,TEP(totally extraperitoneal approach;腹腔鏡を用いた腹膜前到達法による腹膜前修復術1))であれば腹壁内の操作のみで完了することができ,腹腔鏡下手術のもつ低侵襲性を十分に発揮することができる.しかしながら,TEPのほうがlearning curveが長く,その間の合併症や再発が多いことが報告されており,日本内視鏡外科学会のアンケート調査によれば,2013年には5%と非常に高い再発率が報告されている2).その要因として,腹膜外腔への到達が盲目的である,見慣れない視野である,間接ヘルニア囊の処理が難しい,などが挙げられるが,これらの課題を克服するためには,腹壁解剖の正確な理解が不可欠であり,特にTEPにおいては,腹膜前腔の層構造の正しい理解なしには正確な修復術はできない3〜7).
初めに,腹壁解剖に基づく標準化した第二世代のTEPともいうべき手術手技を十分に理解し習熟したうえで,最新の器材や手技へも取り組み,TEPの素晴らしさを体感し,患者と共有していただきたい.
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