1200字通信・76
手術と躾
板野 聡
1
1寺田病院外科
pp.309
発行日 2015年3月20日
Published Date 2015/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210674
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- 文献概要
ここ数年で,私の関係する医局でも若い教授方が次々と誕生し,頼もしく思っています.一昨年からは,当院でも,そうした新進気鋭の先生にお越しいただき,大腸の腹腔鏡下手術のご指導をお願いしています.
先日のことですが,大腸癌の手術で,主治医が助手を務め,私がカメラ持ちをさせて頂く機会がありました.スムースに手術が進み,無事に病巣が切除されたとき,主治医が一旦手を降ろしてご家族への説明に行くことになり,しばらく私が助手を務めることになりました.病巣の切除と吻合は,小さく開けた創部から体外に引き出して行うため,通常の開腹手術と同じ操作になります.お互いに同門ということで,吻合の手順や使う糸の種類なども了解されたことであり,スムースに進んでいきます.そうした流れのなかで,ちょっとした糸の運びや鑷子の動きだったのでしょうが,「先輩方は,ここまで気を使って助手をされるのですね.私も昔に言われたことを思い出しました」とのお言葉を頂くことになりました.さらに,「これって,やはり躾ですよね」と続けられ,「そう言えば,昔は教えてもらうと言うよりは躾られた感じだったな」と,若かった頃のことを思い出すことになりました.
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