書評
—中村清吾(監修) 聖路加国際病院ブレストセンター・オンコロジーセンター(編) 山内英子(責任編集)—乳癌診療ポケットガイド 第2版
池田 正
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1帝京大 外科学
pp.320
発行日 2015年3月20日
Published Date 2015/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210677
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『乳癌診療ポケットガイド 第2版』が発刊された.山内英子先生編集のもと,聖路加国際病院のブレストセンター・オンコロジーセンターが総力を挙げて改訂された.乳癌の分野では医学情報が日進月歩であるため,待ちに待った改訂といえる.
本書の特徴は,①乳癌診療の基本から最新情報までコンパクトにまとめてあること,②図表を多用しており,かつ2色刷のため非常に見やすいこと,③看護の面から見た情報も記載してあること,④遺伝性乳癌,多遺伝子アッセイ,社会的サポートなどトピックについても紙面を割いていること,⑤薬物療法に関してはレジメンの量まで記載してあることなどである.ことに,ポケットに入るような大きさにもかかわらず,レジメンが細かく書いてあるなど,臨床の現場を意識して構成しているため実臨床で非常に使いやすいものに仕上がっている.若い医師が臨床現場でオーダーを確認するのにもってこいである.また,乳癌は近年増加が著しく,臨床でよく遭遇する疾患である一方,診断治療の変化が著しい癌でもあり,専門外の先生にとっては苦手意識があるかもしれない.このような先生にとってもレジメンの根拠になる臨床試験も挙げており,理解しやすいと思う.本書を読んでさらに詳しい情報が欲しいと思われる方は,『乳癌診療ガイドライン』などを一緒に読まれるとさらに理解が深まってよいだろう.
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