特集 鼎談
術中トラブルの予防と対策
肝臓手術
術後のトラブルあれこれ
小澤 和恵
1
,
島村 善行
2
,
出月 康夫
3
1京都大学第2外科
2国立療養所松戸病院外科
3東京大学第2外科
pp.1490-1495
発行日 1989年9月30日
Published Date 1989/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210513
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3区域切除後,再発が散布性に起こったとき
小澤 拡大切除する場合に一番怖いのは,例えば右3区域切除例で,比較的小さい残肝が急速に再生するような場合に,再発が散布性に2ヵ月以内におこる症例です.アンギオでは満開の梅の花のようにみえます.年に1〜2例は必ず経験しますね.肝の再生増殖と同じような因子が関係しているのだと思うのです.逆に残肝がわりに大きな場合は経験しないものですから,拡大手術をしていく際に,3区域やれば根治性があると思っても,lateralが小さい場合にはグッと後退して右葉切除にとどめております.機能的には取れても,やはりそういう梅の花のような形に再発しますと,もうどうしようもありませんので.そのへんを事前に予知あるいはコントロールする方法はないものかと悩んでおります.
島村 私も以前に何例かありました.特に,HBウイルス・キャリアーの若年者ではそのような傾向がありますね.進行肝癌にはほとんどの症例に肝動脈挿管していますので,全身状態が改善してきたならば,少なくとも1ヵ月以内にそれを介してリピオドールを注入するようにしています.
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