文献抄録
原発性胃リンパ腫—病期判定と治療の問題点
深瀬 達
1
,
石引 久弥
1
1慶応義塾大学外科
pp.252
発行日 1989年2月20日
Published Date 1989/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210294
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原発性胃リンパ腫は胃に発生する全悪性腫瘍のうち1〜3%を占めるに過ぎない稀な疾患である.1965〜1980年の15年間にバージニア大学医学センターで扱った本症28例(男15例,女13例,年齢21〜83,中央値63.5歳)について術中診断,病期判定,補助療法を検討した.
臨床症状は胃癌あるいは消化性潰瘍に類似し,心窩部痛は56%と最も多かった.術前診断でも14例(50%)が胃癌,5例(18%)が潰瘍と診断されており,リンパ腫の疑いをもたれたのは胃内視鏡による生検を施行した8例のうちの3例(11%)のみであった.全例に開腹術が施行され,原発性胃リンパ腫と診断された.病理組織学的所見では,Rappaport分類のび漫性組織球型が最も多く89%を占め,他の11%はび漫性混合型であった.リンパ節転移に関して十分な試料のえられた21例中,原発巣の近位傍胃リンパ節転移陽性が6例(21%),遠位リンパ節転移陽性が3例(11%),リンパ節転移陰性は12例(43%)であった.
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