Japanese
English
臨床報告
肝転移の認められなかった胃の肝様腺癌の1例
A case report of so-called hepatoid adenocarcinoma of the stomach without liver metastasis
大橋 直樹
1
,
五嶋 博道
1
,
山碕 芳生
1
,
太田 正澄
1
,
草川 雅之
1
,
曽我 俊彦
2
Naoki OHASHI
1
1三重県厚生連中勢総合病院外科
2三重県厚生連中勢総合病院病理
pp.1537-1541
発行日 1988年9月20日
Published Date 1988/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210183
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はじめに
α-feto-protein(以下AFP)産生胃癌の中で組織学的および機能的に肝細胞類似の形質を有するものを胃の肝様腺癌hepatoid adenocarcinoma of the stom-achと呼ぶことが提唱されている1).胃と肝はともに前腸に由来し,胃の多分化能を有する腫瘍細胞が肝細胞の方向へ分化したものと考えられ,形態的類似性のみならず,肝細胞癌が産生するAFPのほかα-1-antitrypsin(以下AAT),α-1-antichymotrypsin(以下ACT)など種々の肝細胞マーカーを腫瘍細胞内に証明することが必要である.このような肝細胞への分化を伴った胃癌の報告例は,石倉らの集計した9例のみであり,また肝転移が高率に認められているが本症例は術後1年を経過した現在まで肝転移を認めない稀な1例と思われたので文献的考察を加えて報告する.
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