Japanese
English
臨床報告
後直腸腔に発生したMucus-secreting cystの1手術例
A case of mucus-secreting cyst in the retrorectal space
飯澤 肇
1
,
亀山 仁一
1
,
星川 匡
1
,
豊野 充
1
,
塚本 長
1
IIZAWA Hajime
1
1山形大学医学部第1外科
pp.715-718
発行日 1985年5月20日
Published Date 1985/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209021
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はじめに
直腸と仙骨尾骨の間に発育する腫瘍は,比較的稀な疾患で,後直腸腫瘍とよばれている.成人の後直腸腫瘍は臨床症状に乏しく,直腸指診で初めて見つけられることも多い.胎生期の発生上の異常で生じるdevelopmental cystには,類皮腫,類上皮腫,mucus-secreting cystが含まれるが,これらは感染を生じやすい.これらが感染を合併した場合には肛門周囲膿瘍や痔瘻として処置されたり,直腸癌との鑑別に迷うこともあつたりして,正確な診断を要する.病理学的には多彩な病変が認められるが,悪性像がみとめられることも稀にあり,注意が必要である.
今回,われわれは組織学的にはmucus-secreting cystであつた極めて稀な後直腸腫瘍を経験したので若干の文献的検討を加えて報告する.
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