Japanese
English
臨床報告
山形県で見出された肺犬糸状虫症の1例について
Case report of human pulmonary dirofilariasis in Yamagata Prefecture,Japan
斎藤 奨
1
,
山下 隆夫
1
,
渡辺 正
1
,
仙道 富士郎
1
,
布山 繁美
2
,
折田 博之
3
,
鷲尾 正彦
3
,
吉村 裕之
4
,
赤尾 信明
4
Susumu SAITOU
1
1山形大学医学部寄生虫学教室
2山形大学医学部第1病理
3山形大学医学部第2外科
4金沢大学医学部寄生虫学教室
pp.1309-1312
発行日 1984年9月20日
Published Date 1984/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208813
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はじめに
従来,動物固有の寄生虫はたとえ人の体内へ侵入しても感染しないと言う考えが一般的であつた,しかし近年になつて,ある種の動物の寄生虫は人体内でも一定期問生存して強い病害を与えることが明らかになり,人畜共通寄生虫症の重要性が認識されるようになつた.犬糸状虫Dirofilaria immitisによる人体感染症もその1つの例である.Faust4)は2例のDirofilaria属感染症の経験例を,それまでの報告例に加えて集計した合計37例について検討して発表した.このことが契機となつて,その後,次々と類似の症例が報告されるようになつた.日本ではNishimuraら7)が初めて,52歳の女性の左胸部皮下組織から雌成虫を検出した.その後,吉村ら14-19)は数回にわたり,日本と世界の報告例を総括し,人体内における犬糸状虫の寄生部位は肺臓と浅在性軟組織,殊に皮下組織に大別されるが,まれに犬と同様に心臓および近接大血管にも見られることを紹介した.
今回,得られた症例は日本で最も多数の症例がみられている肺臓寄生のもので,日本における肺犬糸状虫症の第17例目として,その概要を紹介する.
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