Japanese
English
臨床報告
外傷性胸部大動脈瘤の1治験例
A care of traumatic thoracic aortic aneurysm
白川 和豊
1
,
臼井 由行
1
,
今吉 英介
1
,
清水 康廣
1
,
内田 発三
1
,
寺本 滋
1
Kazutoyo SHIRAKAWA
1
1岡山大学医学部第2外科
pp.1171-1174
発行日 1984年8月20日
Published Date 1984/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208791
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はじめに
鈍的外傷による胸部大動脈損傷は,近年の交通・労働災害の大型化にともない増加している.外傷により大動脈壁は種々の程度に損傷し,全層が一時に断裂した揚合には受傷直後に死亡すると考えられ,大多数の症例では30分以内に死亡するといわれる.これに対し,動脈壁の断裂が内・中膜にとどまり,外膜によつてその連続性が保たれているものでは直接死を免れ,亜急性型あるいは慢性型の経過をとる.Hebererら1)は,受傷後2ヵ月以上経過したものを慢性外傷性動脈瘤としているが,これらは全胸部外傷例の5%以下に過ぎないとしており,他家の報告を考え合わせると1〜2%が慢性の経過をとるものと考えられる2,3).
最近われわれは受傷後15年目に胸部異常陰影で発見された本症の1例を経験し,手術により治癒せしめ得たので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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