Japanese
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特集 臓器移植の最前線
腸移植の現況と展望
Current aspects and prospects of intestinal transplantation
岡田 正
1
Akira OKADA
1
1大阪大学医学部小児外科
pp.517-522
発行日 1984年4月20日
Published Date 1984/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208605
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はじめに
腸切除は日常における消化器外科臨床のうちでも最もしばしば行われるものの一つであるが,時として大量の腸切除を余儀なくされる場合がある.この場合大抵は残つた腸管が経過と共に延長・肥大を来たし,後に何ら障害を残さないのであるが,腸切除の範囲が大量に過ぎ限界を越えると残存腸管のみではもはや機能を充分には発揮できずこのままでは生存不可能となる.腸管大量切除術は成人・小児を問わず古くより消化器外科の大きな課題とされ,その病態生理及び治療をめぐつて数々の検討がなされて来た.
1960年代後半に臨床応用が試みられ,以後急速な発展を見た静脈栄養法は大最腸切除の予後に大きな光明をもたらした1).のみならず更に,「人工腸管システム」「家庭での静脈栄養法(Home Pa—renteral Nutrition=HPN)」の確立・安全化により,静脈栄養を続けたままでの日常生活,社会復帰すら可能となりつつある2).またこれと共に手術適応例も増え,このような半永久的な静脈栄養を受ける患者数が増加しつつある,米国では既に3,000名を突破する患者数があり,わが国でも我我が昨年医学総会シンポジウムを機会に行つた全国アンケート結果をみても129例を数えており年と共に増加の傾向が見られている(表).
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