Japanese
English
臨床研究
手術後低酸素血症および肺合併症の予防—経皮的気管内細管法の応用
Prevention of postoperative hypoxia and pulmonary complications:application of percutaneous intratracheal canulation (PITC)
原田 邦彦
1
,
浜口 伸正
1
,
佐尾山 信夫
1
,
島田 良昭
1
,
南本 智史
1
,
畠山 茂毅
1
,
井上 権治
1
Kunihiko HARADA
1
1徳島大学医学部第2外科
pp.1483-1489
発行日 1983年10月20日
Published Date 1983/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208461
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
侵襲の大きい手術,高齢者の手術後などに発生し易い低酸素血症や肺合併症に対する治療は気管支ファイバースコープの汎用により成績が向上して来た.しかしなお,頑固な換気障害が続く場合も少なくない.経鼻法などにより酸素投与を行つてもPaO2が70〜75mmHgまでしか上がらないが,気管挿管や気管切開などの負担の大きい処置はしたくないという場合がしばしば経験される.この様な状態に対してはそれ以後に起こるかもしれない肺合併症や心肺負荷状態への危惧を含め,適切な利用し易い治療法が求められるところであるし,また多くの工夫が報告1)されている.
著者らは経皮的に頸部気管内に細いチューブを刺入し,そのまま留置して,これより酸素を送気する方法(percutaneous Intra-tracheal Canulation,以下PITCと略す.)を試行したところ,予想以上にPaO2の上昇,PaCO2の正常化が得られ,また,このチューブはそのま気道内分泌物の吸引にも利用出来るなど,呼吸管理法として極めて有効な方法であることが判つた.その臨床効果ならびに実験的に本法施行時の換気の病態生理を検討した.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.