Japanese
English
臨床研究
微小甲状腺癌の臨床および病理学的検討
Clinical and pathological studies of microthyroid carcinoma
野口 昌邦
1
,
松葉 明
1
,
高橋 信樹
1
,
広沢 久吏
1
,
小島 靖彦
1
,
木南 義男
1
,
宮崎 逸夫
1
,
水上 勇治
2
,
松原 藤継
2
,
三輪 晃一
3
Masakuni NOGUCHI
1
1金沢大学医学部第2外科
2金沢大学医学部中央検査部病理
3福井医科大学医学部第1外科
pp.1123-1126
発行日 1981年7月20日
Published Date 1981/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207756
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はじめに
甲状腺癌はその大部分が増殖速度の緩やかな分化癌であり,また頸部の体表近くに存在し異常を自覚しやすく比較的早期に診断治療されるなどのため一般にその予後は良好であるが,進行した甲状腺癌は今日でも根治手術が難しく,腫瘍による気道圧迫,遠隔転移,さらに未分化癌化などのため死に至る症例も少なくない1).従つて甲状腺癌も他の臓器の癌と同様に早期発見,早期治療が重要と考えられる.
しかし甲状腺の癌病巣が微小な,すなわち最大径10mm以下のものは触診,甲状腺軟線撮影,超音波およびスキャンなどの諸検査によつて診断が極めて困難な現状にある.この甲状腺癌病巣の最大径が10mm以下のものを転移の有無にかかわらず,微小甲状腺癌と定義する傾向にあるが2),これは他の臓器の早期癌に相当するとも考えられる.以前よりこの微小甲状腺癌は剖検症例や甲状腺癌以外の疾患で甲状腺切除を受けた症例の甲状腺組織を組織学的に精査するとかなり高率に発見されることが指摘されていたが3,4),最近,臨床上においても微小甲状腺癌に注目し始めたこともあり,その症例が増加する傾向にある.
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