Japanese
English
外科医の工夫
呼吸練習器具を用いた術前・術後の呼吸管理
Respiratory care by using an instrument
鈴木 美佐子
1
,
諏訪 邦夫
1
Misako SUZUKI
1
,
Kunio SUWA
1
1東京大学医学部麻酔科
pp.953-955
発行日 1981年6月20日
Published Date 1981/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207731
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はじめに
術後呼吸不全の予防・治療に対し,気道内陽圧の応用,過換気や深呼吸による呼吸運動練習が有効であるということは,かなり以前から指摘されている.近年,外科学,麻酔学の進歩,患者管理の向上により,手術適応が拡大し,術後呼吸不全等の合併症が重要な間題となつてきている.特に高齢者の開胸手術・上腹部手術の術後は,心肺機能予備力の低下ともあいまつて,術後肺合併症をおこし易い.術前呼吸機能検査の%VCやFEV1.0値の低下などと,術後肺合併症の発生頻度とは,必ずしも相関しないといわれるが,しかし,高齢者に閉塞性換気障害が合併する場合は,術後肺合併症発生の危険が高いものと考えて,術前より呼吸管理が必要と考えられる.
そこで,術前・術後を通じて,簡単に呼吸運動練習が行なえる呼吸器具として,気道内陽圧と死腔を組み合わせたIDSEP呼吸器具が考案された(IDSEP:Increa—sed Dead Space and Expiratory Pressure,米国Miconn社),IDSEPを用いて患者に呼吸運動を行なわせると,死腔を用いた過換気と気道内陽圧により肺気量を増し,気道閉塞や無気肺を予防し,呼吸機能改善を促進すると考えられる.
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