特集 外科医のための麻酔
Editorial
術前検討における外科医・麻酔医間のコミュニケーション
諏訪 邦夫
1
1東京大学医学部麻酔学教室
pp.164-165
発行日 1980年2月20日
Published Date 1980/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207369
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本特集「外科医のための麻酔」は,医療の高度化・細分化に伴つて分科せざるを得ない外科と麻酔科との間のコミュニケーションを計るために企画したものである.内容は,一方では現在の趨勢である「麻酔は麻酔科に」という方式の下で,外科医に知つておいてほしいこと,知つておくと便利なことを述べ,一方では現在も行なわれ今後も当分は継続していくであろう「外科医自身が麻酔を施行していく」方式の方々にも役立つようにアレンジした.
個々の学術的・技術的問題は各々の論文にゆずるとして,ここでは,手術にもちこむに至るまでの術前状況における外科医と麻酔医との(そして勿論患者との)コミュニケーションの大切なことを強調したい.鈴木氏・茅氏・土谷氏・森川氏の各論文につよく表現されていることであるが,近年の麻酔診療は患者の術前状態をきびしくチェックする方向にむいてきている.これは血算さえも施行せずに手術を行なつていた10年,20年前でも「特にトラブルはなかつた」と言いたがり勝ちな経験豊かな外科医からみると,手術を「なるべく行なわない」方向へと逆行しているようにみえるかも知れない.
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