histoire de la chirurgie アンブロアズ・パレの世界—400年前の大外科医をめぐつて・1【新連載】
パレの前半生
大村 敏郎
1
1川崎市立井田病院手術室
pp.70-73
発行日 1980年1月20日
Published Date 1980/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207355
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□はじめに
Ambroise Paré(アンブロアズ・パレ),この名を知らぬ方は本誌の読者の中にはおるまい.近代外科の祖として,またルネッサンス時代の外科医の巨星としてあまりにも有名である.
では,どんなことが有名で,どんな人物であつたかということになると,次第に答はおぼろげになつてしまう.「私が処置をし,神がこれを癒し給う.」という名言をはいた外科医というのが一番知られていることであろう.現代の医学があまりに広く領域をひろげ,あまりに分化されすぎた為に,医学教育では歴史上の人物にまでふれている時間がないというのが現状ではあるまいか.解剖名,病名,症状,新しい器械や術式などに名を残した人々には親しみをもてるが,思想や考え方は時代と共に書きかえられて,人の名が消えていつてしまうことがよくある.それでよいのだろうか.
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