Japanese
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臨床研究
体外循環下開心術における血球保護剤としてのPoloxamer 188の臨床的評価
Clinical evaluation of poloxamer 188 as a protective agent for blood cell damage during the open-heart surgery using extra-corporeal circulation
西村 基
1
,
湯田 敏行
1
,
宮崎 俊明
1
,
田畑 傳次郎
1
,
屋良 勲
1
,
尼子 春樹
1
Motoi NISHIMURA
1
1鹿児島大学医学部第2外科
pp.1591-1598
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207303
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はじめに
体外循環を用いる開心術において,避けられない合併症の一つに血液成分の破壊がある.破壊を起こす要因は多くは機械的なもので,酸素化装置,回路殊に送血回路,送血カニューレ,心腔内血吸引器などがその主なものである.酸素化装置としては,血液がガスと直接接触しない膜型人工肺が,血球傷害防止において優れてはいるが,材質や操作の問題が残つていて,まだ一般的でない.従つて,当面,気泡型あるいはスクリーン型人工肺とローラーポンプを主体とする通常の装置を用いながら,血球傷害を軽減させる手段を講じつつあるのが現状である.溶血防止の手段として,これまで人工心肺の改良,手術操作の改善,血液の稀釈などが,ある程度の効果をあげて来た.薬剤により血球を保護する方法もmanni—tol1,2),tocopherol3,4),pluronic F−685-11)などが報告された.pluronic F−68は,一致して効果が認められながら試験的使用に止まり,今日,全く用いられていない,しかし,溶血防止の方策としては応用が容易である点ですぐれているので,ここにあらためて,その赤血球保護効果と生体に及ぼすその他の作用についての臨床的検討を行なつた.今回使用したpoloxamer 188(以下Px)は国際的一般名称で,以前の文献には,pluronic F−68の名称で出されている.polyoxypropylen・polyoxyethylen重合体でpropylene oxide 20%,ethylene oxide 80%の重合比率で構成され,平均分子量8,350である.exocorpol(ミドリ十字)はPxの10%溶液である.
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