Japanese
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臨床報告
ペースメーカー植込み後の皮膚の圧迫壊死により生じた敗血症—経右房的にカテーテル電極を除去し,敗血症を根治せしめた1症例
Sepsis after pacemaker implantation, as a result of the pressure necrosis of the skin:a case report of a successful removal of the pacing catheter via right atrium
小野寺 栄司
1
,
鈴木 隆三
1
,
城田 裕
1
,
鈴木 章夫
1
,
中田 八洲郎
2
Eiji ONODERA
1
1順天堂大学医学部胸部外科
2順天堂大学医学部循環器内科
pp.759-763
発行日 1979年5月20日
Published Date 1979/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207174
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はじめに
1950年代後半より臨床応用されだした心臓ペーシングはペースメーカ(以下P.M.と略す)本体および電極の改良により徐脈性不整脈のみならず頻脈性不整脈の治療にもその適応は拡がり,本邦においてもその数は近年著しく増加している.最近ではエレクトロニクスの進歩によりP.M.本体に起因するトラブルは少なくなつてきているが,電極に関した合併症としてカテーテル電極の離脱,移動,あるいは断線等があり,外科的合併症として局所の圧迫壊死,感染,さらには敗血症が重大な合併症となつてくる.P.M.植込み患者の感染症は発生頻度は少ないがひとたび敗血症の状態となると難治性でありほとんどの場合P.M.システムの除去を余儀なくされる.最近われわれは経静脈性ペーシングカテーテル直上に発生した皮膚の圧迫壊死創を侵入門戸とした敗血症の症例を経験した.種々の抗生剤投与にても敗血症を根治できず,結局人工心肺待期下,胸骨正中切開,経右房的にP.M.電極を除去し敗血症を根治せしめた.この症例をふまえ,経静脈性ペーシング患者の感染の原因,治療,および予防について論じてみたい.
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