特集 今日の癌免疫療法
免疫学的モニター—最近の話題—MEMテスト—細胞性免疫指標として
中島 聰總
1
,
小鍛治 明照
1
Toshifusa NAKAJIMA
1
,
Akiteru KOKAJI
1
1癌研究会付属病院外科
pp.1379-1387
発行日 1978年10月20日
Published Date 1978/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207033
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はじめに
近年疾患に対する免疫学的認識が急速に深まりつつある.これは外来抗原に対するアレルギー疾患や自家組織を抗原とした自家免疫疾患にとどまらず,悪性疾患においても腫瘍抗原の認識や,発癌過程における免疫監視機構の破綻など,広い範囲に及んでいる.これに伴い臨床医も患者の免疫機能の把握の必要に迫られているが,免疫機能とくに細胞性免疫機能の検査法の多くはルーチンに施行しがたい.
マクロファージ,または白血球遊走阻止試験(Macrophage or Leakocyte Migration Inhibi—tionTest,MMI or LMI)は数少ない臨床応用可能な検査法であるが,再現性を得るには高度の熟練を必要とする.1970年イギリスのField &Casparyはマクロファージ電気泳動テスト(Ma—crophage Electrophoretic Mobility Test,MEM)と呼ばれる新しい検査法を考案した1).この検査法は短時間で結果が得られ,再現性も良好であるためにMMI法よりさらに臨床応用が容易であろうと思われる.この方法は主としてイギリスにおいて検討が加えられてきたが,最近は東ドイツ,日本,アメリカでも施行されるようになつてきた.我が国へは杉崎ら2),岩口ら3)によつて紹介され,著者らも1974年より岩口,桜井との共同研究によりMEMテストの臨床応用を試みた.今回はMEMテストの原理,操作法およびその応用面について文献的に紹介し,あわせて著者らの成績の一端を報告したい.
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