カラーグラフ 消化器内視鏡シリーズ・25
肝硬変の内視鏡分類
島田 宜浩
1
1岡山大学医学部第1内科
pp.942-943
発行日 1977年8月20日
Published Date 1977/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206780
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硬変肝の表面には結節状に再生した実質と結節相互間の谷間に当る結合織帯がある.結節の直径は2mm以下の小さいものから数mmさらに1cm以上の巨大なものまであり,結合織帯にも結節が互に接触して結節間の結合織が非常に狭いものから数cmに及ぶ広い結合織帯を認める症例まである.腹腔鏡検査は肉眼大ないし3〜4倍の拡大で肝表面を広く観察出来るので,上記の結節や結合織帯の観察には最適の検査法であるといえる.またカラー写真により所見の記録も出来る.
肝硬変症の分類には,病因が明瞭な特殊型を除き,一般型には形態学的分類が用いられ,わが国では長与の甲乙分類と,その後報告された三宅の甲甲’乙乙’分類が有名である.その基準について,甲型肝硬変では急性ないし亜急性肝萎縮症後に残存肝細胞より再生結節が作られるものとされ,幅広い結合織帯の中に大小不揃いの偽小葉を認める.乙型では間質性肝炎に由来すると考えられてきたが,現在ではウィルス肝炎が主要病因であると考える学者が多い.通常大型で複小葉性の偽小葉が相接して結合織の幅が非常に薄いことが特徴である.甲’型は乙型ほど輪状構造が平等でなく,甲型よりも間質の幅が狭いが所々に広い幅の間質を認めるもの,乙’型は中結節性の肝線維症であるが,乙型のように偽小葉の令域を線維がつつむにいたらないものとされている.
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