Japanese
English
特集 肝切除の術式
肝左葉切除術
Left hepatic lobectomy
都築 俊治
1
,
尾形 佳郎
1
,
中村 達
1
,
飯田 修平
1
,
大塚 秋二郎
1
,
細田 洋一郎
1
Toshiharu TSUZUKI
1
1慶応義塾大学医学部外科学教室
pp.1271-1279
発行日 1976年10月20日
Published Date 1976/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206599
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はじめに
肝切除術はすでに半世紀以上の歴史を有する手術であるが,なお普及した手術になつているとは言い難いのが現状である,一方,肝切除術の対象である肝癌はわが国では胃癌,肺癌についで多い癌であり,また最近は肝外傷の増加につれて肝切除の必要性が高まつており,その普及は時代の要請でもある.この意味で1976年4月日本外科学会においてシンポジウム「肝切除」が行なわれ,引き続いて本特集が企画されたのは当然である.筆者に与えられたテーマは左葉切除術であるが,われわれのこれまでの経験を基礎にして左葉切除術の概略と問題点を述べてみたい.
われわれが最近3年間に経験した肝切除例は14例で,その内訳は左葉切除8例,右葉切除3例,拡大右葉切除3例である.各症例の原疾患,切除量,出血量,合併症および転帰は表1のごとくである.左葉切除は右葉切除に比べて一般的には容易であるが,困難なものもあり,各症例について工夫が要求される.
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