Japanese
English
特集 早期大腸癌の外科
早期大腸癌の治療—とくに直腸sm癌の対策
Teatment of early carcinoma of the colon and the rectum
土屋 周二
1
,
松田 好雄
1
,
犬尾 武彦
1
Syuji TSUCHIYA
1
1横浜市大第2外科
pp.741-749
発行日 1976年6月20日
Published Date 1976/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206525
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
大腸においても粘膜(m)または粘膜下層(sm)までの癌を早期癌と規定して取扱う趨勢にあり1,7),近年飛躍的にこのような早期癌の発見数が増加している.これを臨床的に取扱うにあたりとくに問題となるのは次の2点である.まず大腸粘膜の隆起として発見された病変が早期癌であるかどうかを確実に決定するにはどうしたらよいかという問題であり,つぎに早期癌であればどのような治療的処置がもつとも合理的であるかという問題である.m癌とわかれば転移のおそれはきわめて少なく,局所的切除でよいという考えはほぼ定説1,3,8)であるが,sm癌に対しては問題がのこる.Dukes Aの直腸癌にMiles手術のような廓清をともなう手術を施行した時の成績はきわめてよいことがわかつているが,sm癌のすべてにこのような手術が果して必要であろうか.このような疑問は,誰でも持つであろう.sm癌には少数ながらリンパ節転移があり1-10,15),術前に転移の有無が確かめられない以上,リンパ節をできるだけ廓清して完全を期するのが,外科治療の常道にもつともかなうところであろうが6-7,9-10),一方において局所切除のような縮小手術の効用と限界を明らかにして行く努力も必要となつてきた.以下自験例を中心にこれらの問題について考察を加えてみたい.まだ経験も浅く,不備の点も多いが,ご批判いただければ幸いである.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.