Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
いま大腸早期癌の治療方針について考えるとき早期胃癌についてのこれまでの日本における目覚しい研究の歴史を思い起こさざるを得ない.1962年日本消化器内視鏡学会で早期胃癌の分類がきめられて以来多数の臨床家や病理学者の興味と関心を呼び起こし内視鏡診断,X線診断,手術術式,病理が詳細に研究されてきた.そして早期胃癌の分類がきめられたことによる最も大きな成果はこれらの研究により広く一般に臨床医の早期胃癌の診断,治療のレベルが向Eし,飛躍的に多数の早期胃癌が発見され手術されて沢山の生命が救われてきたということである.われわれは大腸早期癌について考え研究するときに同じ効果を期待したいものである.
さて大腸早期癌の定義はまだきめられていないが早期胃癌と同じくm癌,sm癌とする傾向にある.m癌についてはポリペクトミーを含めて局所切除術による原発巣の摘除で良いというのがほぼ一致した意見であるが,sm癌ではリンパ節転移や再発が少数ながらありうることからリンパ節郭清を伴う根治手術をすべきという意見が多い.しかしsm癌のすべてに広汎な,ときには膀胱障害を起こしうるようなリンパ節郭清を行い,また人工肛門を造設するような根治手術が果たして必要であろうか.たとえsm癌でも病理学的に一定の条件を満すものにはポリペクトミーを含めた局所的な手術でも完治できるものが少なくないと考えられるがこれはどの位確実性をもったことであろうか.この点を中心に大腸早期癌の治療方針を検討したい.
Based on the analysis of 296 cases of early colorectal carcinoma (47 personal and 249 reported cases), a therapeutic plan of early colorectal carcinoma is proposed. Either polypectomy or local excision is the first procedure for most of the polypoid lesion and it is the ultimate treatment, if the postoperative histological study reveals an intramucosal carcinoma.
Concerning the invasive carcinoma limited to the submucosa, no further operation is also necessary, provided that it is well differentiated adenocarcinoma without lymphatic invasion having a margin free of carcinoma histologically.
Exceptionally, radical major operation with regional lymph node dissetion should be the first operation for a sessile polyp with central depression because of its possibility of lymph node metastasis.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.