Japanese
English
臨床報告
食道壁内嚢腫の1治験例
A curative case of a cyst within esophageal wall
木村 孝哉
1
,
森 昌造
1
,
渡辺 登志男
1
,
渋谷 一誠
1
,
本間 正敏
1
,
酒井 信光
1
,
葛西 森夫
1
,
知念 功雄
2
,
浅木 茂
2
Takaya KIMURA
1
1東北大学医学部第2外科
2東北大学医学部第3内科
pp.91-94
発行日 1976年1月20日
Published Date 1976/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206424
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はじめに
食道に発生した腫瘤は通常縦隔腫瘤に含めないのであるが,食道腫瘤はしばしば縦隔の先天性嚢腫として報告されている.1964年葛西1)らの原発性縦隔腫瘍の本邦集計によると,先天性嚢腫48例で約5%を占めるにすぎず,うち気管支性嚢腫32例,食道性嚢腫3例,その他の消化管性嚢腫2例,心嚢性嚢腫4例,非特異性,その他の嚢腫7例であり,菅野2)による1964年時気管支性嚢腫の本邦報告例は47例である.最近縦隔嚢腫の報告は非常に増加してきており,正岡3)らの縦隔外科全国集計では,先天性嚢腫332例で8.1%を占め,うち気管支性嚢腫184例,心嚢性嚢腫63例,消化管性嚢腫29例,髄膜嚢腫6例,胸膜嚢腫2例,胸管嚢腫2例,鰓弓性嚢腫2例,上皮性嚢腫1例,血液嚢腫1例とその大部分は気管支性嚢腫であり,食道性嚢腫は18例である4-20).さらに食道壁内嚢腫は非常にまれであり,今までの報告では7例を数えるのみである.最近われわれは食道壁内嚢腫の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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