Japanese
English
臨床研究
慢性膵炎に対する膵腸吻合術後の膵機能の変化について
Pancreatic function after drainage operation for chronic pancreatitis
田代 征記
1
,
中川 逸男
1
,
吉田 正樹
1
,
村田 悦男
1
,
河野 通文
1
,
野田 健治
1
,
山本 勝
1
,
持永 瑞穂
1
,
横山 育三
1
Seiki TASHIRO
1
1熊本大学医学部第1外科
pp.1287-1292
発行日 1975年10月20日
Published Date 1975/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206355
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はじめに
われわれは第3回目本消化器外科大会にて,膵頭十二指腸切除,膵腸吻合術後の残存膵の機能を何らかの方法でつかむことが出来た全国的アンケート調査の40症例の検討の結果,膵腸吻合時の膵体尾部の障害の程度が,その後の長期観察時の残存膵の状態の良否を左右し,残存膵の実質の硬さの増していたものは,長期観察時に機能が良好でないものが多いことを発表した.更に雑種成犬による実験で膵管を1週間結紮した膵臓に膵腸吻合を行なうと,時日の経過につれfibrosisが増加する結果を得て,膵腸吻合術時の膵の障害の程度が,その後の吻合残存膵の状態を左右する有力な要因であることも発表した1).このように,既にある程度の障害をうけた膵を腸に吻合した場合の吻合術後の膵の病変の進展を最小限にとどめる方策を見出すため,実験的に1週間主膵管を閉塞させた膵について,膵腸吻合した後の線維化を薬物により抑制出来るかどうかをも検討し,その成績は共同研究者の中川が別に発表した2)が,今回はすでに明らかな丘brosisを有する膵石症を伴うような慢性膵炎に膵腸吻合を行なつた場合の術後の膵機能の変化を検討したので,その成績を述べる.
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