カラーグラフ 消化管内視鏡シリーズ・1
色素法
遠藤 光夫
1
,
鈴木 茂
1
,
田中 三千雄
1
,
中江 遵義
1
1東京女子医大消化器病センター
pp.940-941
発行日 1975年8月20日
Published Date 1975/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206299
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A.食道
1)0.5%メチレンブルー溶液または1〜2%トルイジンブルー溶液を,内視鏡直視下に撒布,1分後に水洗し,余分な色素液を流して観察する.癌露出部への着色が,癌潰瘍底,腫瘍表面の附着物,苔の濃染部と正常上皮におけるわずかの色づきとの中間位にみられる(①).凍結切片による検索で,癌細胞の2〜3層の厚さに色素がみられ,"表面への附着","しみこみ","核,細胞質へのとりこみ"の3種類がみられる.良性びらんに対しては,肉芽組織,また再生上皮部分で着色がみられるが,苔以外は一般には癌部より淡い.びらんの対照をつける,びらん内の苔ととりのこし上皮との鑑別に応用される(②).
2)3〜5%ルゴール液の撒布で,正常上皮は,ふくまれるグリコーゲンのため黒変する.癌,びらんなどで,上皮欠損部は変色しない.③は摘出標本に撒布したもので2つの癌部は黒変しない.なお,上皮内癌,異型では色が淡く,興味のあるところである.
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